70万円の時計と3万円のスニーカー
6月は多くの企業でボーナスの時期だ。
東京都の職員の方は平均94万円らしい。
公務員がたくさんの給料やボーナスをもらっていることに憤る人がいるが、私は逆の立場である。利益の出ない公共の福祉を担う人材なのだから、頭の悪い方では大変困る。私たちが歩く道を、飲む水を整備してくれる方々なのだから、優秀な人に担って欲しい。優秀な人を集めるにはそれなりの待遇でお出迎えするのが当然だろう。もしGAFAで働く人々が区役所で働いていたら、私たちはもっと生活がしやすいのかもしれない。
私？私のボーナスはない。ここ5年ほどもらっていないので慣れた。もう心構えの段階から違う。
うつでちょこちょこ会社を休むのに雇用してもらって毎月お賃金を頂けるだけでありがたいというもの。
フリーランスという手もあるのかもしれないが、私にはそんな度胸もアイデアも地頭もない。
私にもボーナスをもらっていた時期があった。新卒で入って会社は銀行だった。当時、色々話を聞いていると他の企業に行った同級生よりももらっていた。でも誤差の範囲内であったが。
初めてのボーナスは何に使ったんだっけか？確か、テレビとブルーレイレコーダーを買った気がする。そんな立派なものじゃない。ヨドバシカメラで実物を見て、良いと思ったものの型落ち品を価格コムで探して買ったんだと思う。ちなみに今でも現役で頑張ってくれている。さすがシャープ、さすがソニー。あ、シャープ元気になってよかったね。残りは生活費と貯金に充てた。
2年目、営業になってからのボーナスは1年目のそれとくらべてドンと積み増しされた。
数日後のfacebookを見るとひとりの先輩が写真を一枚上げていた。男4人が同じガッツポーズのような形でカメラに向かって時計を見せつけているものだった。翌日の営業フロアはその話題で持ち切りだった。確かひとつ70万円くらいだったと思う。目を輝かせる後輩や、うらやましがる家庭持ちの上司。
私は、そんなに、というか全く興奮しなかった。私の時計は就活の時に買った1万円くらいのカシオかなんかの時計だ。時間の確認はもうその時はほとんどスマホだったので、支店で仕事をしているときは外していたし、身に着けるのはお客様の前に出るときくらいだっただろうか。
みんな、そんなに70万円の時計、欲しい？オメガとかロレックスくらいしか名前しらないけど、それを手にしているとなんか良いことがあるのか？攻撃力が３％アップしたり、魔法攻撃を防げるようになるのか？さっぱり分からない。
今在籍している会社ではボーナスは無いけれども、この半年体調のコントロールができるようになって仕事を休むことが少なくなったので、そのご褒美としてニューバランス原宿でイギリス製の27,000円のスニーカーを買った。まず見た目がかっこよい。艶のある皮。それから履き心地が良い。ピタッとフィットして柔らかい歩き心地。一緒に、これもニューバランスのインソールをおすすめされたので購入した。1,800円也。これがとても優れもので、特にかかと、横にずれたりしない。歩くときに余分な力が入らない。歩くのが疲れる人はインソールだけでも変えてみてはどうだろうか？
話がそれたが、私が言いたかったことは、70万円の時計を喜ぶ人生よりも、3万円のスニーカーを喜べる感情を大切にしたいということだ。どちらが良いとか悪いとかの話ではない。どちらに行きたいか、の話だ。
