ニーズはあるのにプロダクトが開発できない
私は零細企業の経理として働いてる。
一番大事な仕事は決算書を完成させることと税務署に申告することだ。日々の過ごし方は売掛金の回収や請求書の発行など、ルーチンワークをこなす感じだ。突発的な業務はあまり入ってこない。仕入れ先のアメリカさんがあーだこーだ言ってきたときにメールでやり取りするくらいだ。
入社初期の頃は簿記すら持っていなかったので、これは借方?貸方?福利厚生費?会議費?など、いろいろと迷うこともあって、自分でググったり、顧問の会計士に相談したりしてきたけれど、簿記も取得して理解が深まったので、今はだいぶ業務自体には慣れてきた。基本は通帳なんかを見ながらテンキーで数字をひたすらに入力していくだけだから、仕事はオートパイロット状態で進んでいく。
最近は、オートパイロット状態は良くないなと思ったので、自分の業務やこの会社がどうやったらもっと良くなるだろうと考えながらテンキーを打っている。実際いくつか思いついて、会社の偉い人と相談して、業務の効率化を図ったり、資金繰りの改善を実施したりした。
効率化の次に思うのは、売上をどのようにして上げればよいかということだ。こういうのをいわゆるマーケティングと言うのだろうか。弊社はお金が無いのと、商流の関係で、広告宣伝費に資金を投入してもあまり効果が無い。そうすると次は、売れる商品の開発、販売ということになる。
マーケティングの本をいくつか読んだが、基本的には、売れる商品というのはニーズとマッチしてこそ、と書いてあるものが多かった。だから自然とテンキーを打ちながらニーズについて考えることが増えた。
私は頭が悪いので、簡単にニーズを見つけることができない。本によれば、ニーズ=困っていること、だそうなので、私の身近からまずは考えてみることにした。
そうすると自然と病気や障害のことになる。うつ病の人が困っていることはたくさんある。何の理由もなく辛い、会社に行けない、夜眠れない。そういうもの対してはもう製薬会社が薬を開発して販売している。それを医師が処方する。でも、実際うつ病の私には今の薬では十分ではないので、もっと効果があって副作用の薬があれば欲しいなと思うのだが、そんなすごいものを開発する莫大な資金は無い。
これとはべつに、日曜深夜に、「月曜からの避難所バー」と称して、週末が終わって月曜が来ることに耐えられない、学校や仕事にいきたくない、という人どうしで共に夜通し過ごし、朝になったら直接職場に行く……(あるいは行かない)というふざけた場所を設けたいのですが、需要あるのでしょうか…… https://t.co/0YS6X9qKzX
— 向坂くじら(くじらさきさか (@pomipomi_medama) July 9, 2018
そんな中、向坂くじらさんという方が開いた「月曜日の避難所バー」というイベントを発見した。月曜日はみんな辛い。日曜の夜は、翌日の月曜日を思うと辛い。そんなニーズに合わせた企画だ。残念ながらこのイベントは今はやっていないそうなのだけれど(詳しくは向坂くじらさんのnoteを見て下さい)、とても画期的だ。私がこの「月曜日から避難所バー」を発見した時にはすでにやっていなかったので内情は分からないが、もし何人か来て、採算がとれているならば、それはもうすごいことだ。
そう、商品を開発するときに「採算が取れるかどうか」これが一番大事な判断になる。どんなに人の役に立つものでも、採算が取れなければ販売元の手元資金が尽きて終わってしまう。例外もある。先ほど挙げた薬だ。これは薬自体の値段が高くても、健康保険で購入者は基本的に3割負担で買うことがき、ニーズが満たされる。
ニーズの中には、インスタ映えしたいというニーズもあるし、生活が送れないというニーズもあるし、様々だ。タピオカミルクティーはそれ単体で採算が取れる。でも生活が送れないというニーズに対する商品は、基本的に公的資金を充当しないと採算が取れない。それに加えて商品の開発費用や、採算ラインに乗るまでの運転資金が膨大だ。商売にするのは難しい。
つまり何が言いたいかというと、ひとつ今、どうしても解決したいニーズがあって、商品のイメージもできている。絶対人の役に立つことを確信している。採算ラインに乗ることもある想定できる。でも、そのニーズを満たせる商品を開発する手元現預金が無い。私は無力だ。
だれかお金が余っている人、私に預けてくれませんか?(なんてね)
ちなみに、その商品は私のような精神障害者ではなく、身体障害者の人のためのもの。精神障害者も身体障害者も大きく括れば障害者だから、まぁ大きく括って良いのか分からないが、精神障害者の私が身体障害者の人たちのことを考える機会は結構多い。
そんなことを考えながら、私は明日からもテンキーを打つのだろう。